日仏文化講座「花開くロココとルイ15世治下の諸芸術」

日仏文化講座「花開くロココとルイ15世治下の諸芸術」のご案内  

日仏会館との共催で以下のような催しが開催されます。皆様奮ってご参加下さいますようご案内申し上げます。 

日仏文化講座
花開くロココとルイ15世治下の諸芸術
Rococo florissant et les Arts sous le regne de Louis XV」 

日 時:2011年7月2日(土)10時 日仏会館1階ホール
主 催:公益財団法人日仏会館、日仏美術学会
参加費:日仏会館・日仏美術学会会員無料、一般1,000円(学生500円)
※お申し込み方法はこちら

午前の部:司会 三浦 篤(東京大学教授)
10:00
開会挨拶 鈴木康司(中央大学名誉教授、日仏会館副理事長)

10:00
ロココ時代のサロン文化永見文雄(中央大学教授、元パリ国際大学都市日本館館長)
18世紀のパリでも前世紀に引き続いてサロンが栄えた。代表的例として、ランベール夫人、タンサン夫人、ジョフラン夫人、デュ・デファン夫人、レスピナス嬢のサロンを紹介し、これらを通してサロンの女主人となる条件を見る。次いで18世紀の知的生活の諸環境において、フランス啓蒙の文化装置としてサロンが果たした役割、その社会的機能を考察する。ルソーのサロン批判なども紹介する。

11:00
ポンパドゥール夫人と装飾芸術大野芳材(青山学院女子短期大学教授)
ルイ15世の治世期、緩やかな曲線や非相称を特徴とする繊細で優美なロカイユ装飾が、家具調度から宝飾品を飾った。こうした装飾美術をはじめとして、当時の文芸の動向に大きく関わったのは、王の寵姫となったポンパドゥール夫人である。彼女の芸術庇護者としての側面を、残されたその肖像画から検討し、工芸品を中心にロココから新古典主義へと推移する当時の美術の趨勢を、彼女の注文作品とともに紹介したい。

12:00~13:30 昼休憩

午後の部:司会 鈴木康司
13:30
雅な宴・市民の宴高階秀爾(大原美術館館長、東京大学名誉教授)
ルイ14世の強烈な意志によって支配されていた17世紀の絶対王政は、世紀が変わるとともに次第にその統制力を弱め、新たに経済的実力を備えてきた市民階級の台頭を許すようになった。それに伴って、美術活動モヴェルサイユとパリという二つの中心を持つようになった。1704年のサロンに風俗画が大量に登場してきた事実に示されるように、市民たちの好みが絵画の世界を大きく変えていった。ヴァトーの「雅宴画」は、市民たちの宴の証人にほかならないものであった。

14:30
マリヴォー劇-昔と今佐藤実枝(早稲田大学名誉教授)
マリヴォーはフランス18世紀の著名劇作家。かつては同時代人の好む数本の作品しか評価されず、この傾向は約2世紀続いた。20世紀後半、マリヴォー劇を読み直す作業が演出家たちによって進められ、ほぼすべての作品が脚光を浴びる。恋愛の原点に暴かれる人間のエゴ、精神的サディズムと評される劇構造、そして身分制度の闇を照らす愛の奔流・・・。新生マリヴォーが現代人に語る言葉を、映像資料で補いつつ伝えたい。

15:30~15:50 コーヒーブレイク

15:50
市の芝居からオペラ・コミックの誕生へ秋山伸子(青山学院大学教授)
定期市で上演されていた芝居は、18世紀にオペラ・コミックという新しいジャンルとして生まれ変わった。オペラ・コミックは、コメディ・フランセーズの台詞劇、王立音楽アカデミーの音楽悲劇、両者のライバルとして君臨する。ラモーは、オペラ作家としての名声を確立する前に、オペラ・コミック用に作曲もしていたが、その色彩の濃いオペラ『プラテー』の映像を用いて、オペラ・コミックの特徴について考えたい。

16:50
ポンパドゥール夫人のプチ・キャビネ ~ルイ15世時代の音楽、オペラ、バレエ
ダンス:市瀬 陽子 バロックギター:竹内 太郎
ルイ15世の時代、新しい舞台芸術としてオペラ・バレエが楽しまれるようになり、一方ではブフォン論争が繰り広げられるなど、フランスのオペラは新たな展開を見ます。芸術に秀でたポンパドゥール夫人が国王のために自ら設えた劇場「プチ・キャビネ」での上演風景に思いを馳せ、当時活躍したA.カンプラやJ .Ph.ラモーの音楽とダンス、そして18世紀後半、新たな流行の波に乗ったギター音楽の世界を、たっぷりとお楽しみ頂きたいと思います。

17:50 質疑応答

18:20 懇親会


花開くロココとルイ15世治下の諸芸術日仏会館、日仏美術学会の協力のもと、昨年、行いました学際的文化講座「バロック芸術の饗宴」は、幸い参加者のご好評を得て成功しましたが、その後、この続きをという声が寄せられ、今年も同様の学際的講座を行うことにいたしました。今回は18世紀、ルイ15世期の代表的芸術様式である華麗なロココと関連諸芸術、背景になったサロン文化、そして演劇、音楽なども視野に入れて行います。わが国では明治以来、18世紀といえば、誰もが啓蒙思想を思い浮かべますが、あえて視点をずらし、学際的興味を惹きつけるキーワードであるロココを取り上げました。日仏美術学会と日仏会館の共催で、今回も高階秀爾氏、三浦篤氏ほか、それぞれの分野でご活躍の講師にご参加いただきました。映像も前回同様豊富に使って皆さんの理解を深めるつもりであります。(鈴木康司)

永見 文雄(中央大学文学部教授 元パリ国際大学都市日本館館長)
東大教養学科卒業、同仏文大学院在学中フランス政府給費留学生として渡仏、パリ第4大学で学ぶ。帰国後、東大文学部助手を経て現職。著書に『菩提樹の香り―パリ日本館の15ヶ月』、『ジャン=ジャック・ルソー:自己充足の哲学』(近刊)、『グローバル化と文化の横断』(共著)他、訳書にルソー『ポーランド統治論』・『フランキエール氏への手紙』はじめ、シャップ、プレヴォー、テラソン、コワイエ、リュスタン・ド・サンジョリ、ゲイ、ドリュモー他。2012年のルソー生誕300年記念国際シンポジウム(日仏会館・日仏会館フランス事務所・中央大学の共催)を準備中。 

大野 芳材(青山学院女子短期大学芸術学科教授)
東京大学人文科学系大学院美術史専攻博士課程中退、パリ第四大学博士課程留学、東京大学文学部助手を経て現職。著訳書に『18世紀の美術』(共訳、岩波書店)『シャルダン』(翻訳、西村書店)『フランス近世の美術』(財務省印刷局)など。『ジョルジュ・ド・ラ・トゥール』『ルーヴル美術館展-美の宮殿の子どもたち』などの展覧会にも携わる。 

高階 秀爾(大原美術館館長、東京大学名誉教授)
東京大学教養学部教養学科卒業。東京大学大学院在学中フランス政府招聘給費留学生として渡仏、パリ大学付属美術研究所及びルーヴル学院で西洋近代美術史を専攻。東京大学文学部教授、国立西洋美術館長を歴任。『ルネサンスの光と闇』(中公文庫)『フランス絵画史』(講談社学術文庫)『フィレンツェ』(中公新書)『増補 日本美術を見る眼』(岩波現代文庫)など著書多数。 

佐藤 実枝(早稲田大学名誉教授)
マリヴォー関連主要著訳書;『新マリヴォー戯曲集1』(大修館書店)、『ユートピア旅行記叢書』14.(岩波書店)以上共訳、『マリヴォー戯曲選集』(早稲田大学出版部)、『フランス演劇史概説』(共著、早稲田大学出版部)ほか、1992年以降、劇団桜花舎(後に咲良舎)のマリヴォー連続公演及び台本の出版(咲良舎ドラマ・コレクション)に協力。 

秋山 伸子(青山学院大学文学部フランス文学科教授)
京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。パリ第4大学文学博士。主要著訳書:『モリエール全集』(共同編集・翻訳、全10巻、臨川書店、2000-2003年)、『身体のフランス文学』(共著、京都大学学術出版会、2006年)、『コルネイユの劇世界』(共著、上智大学出版、2010年)など。 

市瀬 陽子(ダンス)
立教大学、東京芸術大学卒、15~19世紀のヨーロッパ宮廷舞踏、社交舞踏、バレエ作品を研究。舞台作品“優雅な宴les fetes galantes”(1992/93)では、A.カンプラのオペラ・バレエ作品を本邦初演。舞台活動と同時に執筆活動やダンスの指導・教育にも取り組む。聖徳大学准教授、東京芸術大学講師、昭和音楽大学バレエ研究所研究員、東京二期会オペラ研修所講師。 

竹内 太郎(バロック・ギター)
京都生まれ。立教大学、英国ギルドホール音楽院古楽科に学ぶ。英ロイヤルオペラ、ナイジェル・ケネディ、サイモン・ラトル、ベルリンフィルなどと共演。ソロCDには「フォリアス!」「ギターの世紀」「アフェクトォーソ」などがある。英国リュート協会前理事、1997年度文化庁在外派遣芸術家、ショパン音楽院招聘教授。ロンドン在住。 http://www.crane.gr.jp/~tarolute “彼の手により音楽は翼を得て飛翔する”…EARLY MUSIC NEWS誌